防音材には吸音材と遮音材がある!使用している素材と効果とは

防音材を使用すれば一定の音を遮断することが可能で、周囲に迷惑をかけるのを防ぎ、逆に外部の騒音から守ることも可能です。一般家庭から公共施設まで利用されている防音材には、用途に合わせて様々な素材や形状のものがあります。
防音材には音を完全にシャットアウトするものだけではなく、コンサートホールなどでは音を完全に抑えれば音響に影響を与えることから、特性に合わせた素材の製品も存在しています。防音材には単純に音を漏らさないだけとは限らない奥深さがあり、ニーズに合わせて選択することが可能です。ここでは音の種類や最適な防音材について、導入事例も交えながら考察します。

一般住宅やビジネス用途で異なる防音材の活用事例

防音材

防音材は外部からの音を遮断する、逆に内部の音を漏らさないようにするための建築部材の総称を指します。空気を伝わって聞こえてくる空気伝搬音はほんの少しの隙間があっただけでも伝わってしまうため、徹底的な対策が必要です。天井や壁などの物質に伝わって聞こえてくる音は個体伝搬音と呼ばれ、一度音が伝わるとかき消すのが困難なことから、物質に伝わる前に対策をする必要があります。

音楽の政界を例にすると、例えば住宅街でピアノの練習をして周囲に迷惑がかかる可能性があるケースでは、そのピアノを設置している部屋を防音材で囲み、音が一切外部に漏れないようにします。しかし、コンサートホールのような場合は大規模であるのはもちろんのこと、防音材が音響に影響を与えて聞こえ方に変化が起こる可能性もあることから、完全に音を遮断すれば良いという訳にも行きます。

一般住宅の場合は完全な遮断を目指せば過大なコストがかかるだけではなく、小さなお子様が利用する部屋では家族が呼ぶ声も聞こえなくなっては困る場合もあります。そのため、コスト面と機能面のバランスを考慮して、外部に一定以上の周波数を超える音が漏れない程度の施工に留める場合もあります。

業務で利用するオフィスの会議室では社外秘などセンシティブな内容が離される場合もあり、ここでは内部の会話が外部へ漏れないように防音材を使用した徹底的な対策が求められます。このように防音材は用途によって相応しい様々な素材や種類、施工法を使い分けて優れた防音効果を実現します。

吸音材を使用した防音材で音を吸収

防音材

吸音材は音を吸収する素材を使用した防音材のひとつで、完全に防音するだけではなく音の大きさを調整する場合にも用いられます。コンサートホールなどでの採用事例も多く、周囲へ大音量を漏らすのを防止しつつも音響に配慮する用途に向いています。グラスウールはガラス繊維を使用した素材で、シリカや石炭、ソーダ、フェノール樹脂などを組み合わせて作られており、衝突した音を熱エネルギーに変換することで吸収してくれるのが特徴です。グラスウールは断熱材としても利用されており、この変換のプロセスを応用して冬でも暖房の効率を高めて温かく過ごすことができます。

ロックウールは玄武岩などの鉱物に熱を与えて溶解して生成した素材で、防音だけではなく防火や耐火の性能も高く、万が一火事に見舞われた時でも延焼を防ぐことが可能です。前述のガラスウールと同様に、音を熱エネルギーに変換して音を吸収できます。フェルトは羊などの動物の毛を使用した繊維で加工もしやすく、床や天井など様々な用途で利用できるのが便利です。石綿板は石綿を使用した素材で、タイルや石板の形状で屋根や天井に使用されています。

石綿とセメントを混合して圧縮することで生成され、優れた吸音効果を持っています。木毛板は細長く削り出した木材とセメントを混合して作る素材で、古くから建築資材として使われてきました。可燃性が低いばかりか耐腐食性も高く、さらに外部の音を遮断しながら内部の音を吸収できることから、使い勝手のよい防音材として近年になって再評価されています。

防音材は使用する目的や設置する環境に配慮する

防音材

吸音材が音を吸収したり熱エネルギーに変換したりするのに対し、遮音材は音を受け止めて空気中や物質に伝わらないようにするのが特徴です。音が素材にぶつかって跳ね返るため、外部へと漏らさないようにできる一方で、内部にはその跳ね返った音が反響する場合もあり、音楽を聴く目的の場所に使用する場合には注意が必要です。

使用する素材や設置場所や数について検討し、防音効果と聞きたい音のバランスを考慮するのが得策です。気を付けたいのが防音材に使用されている素材は温度や湿度の影響を受けやすいものが多く、湿気を吸収してしまった状態では音が伝わりやすくなり効果が半減することがあります。

逆に湿気を吸収させないためにアルミ素材で覆うなどして水分の通り道を塞いでしまうと、今度は音を跳ね返してしまい、こちらも防音効果が低下してしまいます。このように防音材で使用する素材は環境の影響を受けやすく、防音というデリケートな問題を解決する目的だからこそ素材選びや設置方法には細心の注意が必要です。

また、ハサミやカッターで簡単にカットできるものや、専門の工具が無ければ切断も難しい硬い素材など様々あり、設置場所に応じて選ばなければなりません。防音する対象も大きく影響し、簡易的なシートタイプのものを貼付するだけで十分な防音効果が得られる場合もあれば、壁を撤去して大規模な工事をしなければならない場合もあります。いずれにしてもしっかりとしたプランニングが大切で、目的を達成するために相応しい素材と工法が必要です。

タイプ別で見る防音材の設置事例

防音材

防音材はホームセンターなどで部材を入手できれば、誰でも簡単に設置することが可能です。最もリーズナブルで簡単なので防音シートを壁に貼ることで、防音効果を得ることができます。壁の寸法を測ってそれに合わせてシートをカットし、釘や画鋲で固定します。しかし、賃貸住宅などの場合は将来的に原状回復をして返還する可能性も考慮し、そのような方法が行えない場合があります。

そんな時はレールを利用してシートが直接壁に触れないようにして設置する方法があります。レールを両面テープなどで固定してからシートを挿入すれば、壁に与えるダメージを最小限にして防音シートが設置できます。どんな条件の部屋でも最も簡単に設置できるのが防音カーペットで、難しいことは特になく適切なサイズのものを購入して床に敷くだけで完了です。階下への音を遮断できるだけではなく、歩いた時に足音もかき消してくれます。

ついつい見逃してしまいがちなのが窓で、ガラスが振動して音が伝わることがあります。こちらもガラス窓用の防音シートを貼り付けたり、遮音カーテンを設置したりする方法もあります。

遮音カーテンには吸収層、遮音層、遮断層の3つの層で構成されており、段階的に音を打ち消してくれます。さらなる優れた効果を求めるなら、窓を防音ガラスに交換する方法もあります。ガラスの表面が特殊な素材でコーティングされており、音がぶつかった時の振動や反響を押さえてくれます。これらは数ある防音材を使用した製品のほんの一例であり、設置場所や目的に合わせて多種多様なタイプが用意されています。

まとめ

防音材

一口に防音材と言ってもあらゆる素材や形状があり、数えきれないほどの選択肢があることが分かりました。完全に音を遮断したい場合や、それによってコンサートで聞こえる音に変化が起こるなどの不具合がある場合など目的に合わせてプランを立てる必要があります。技術革新は年々進んでおり、新素材や新工法の登場でその進化は留まることを知りません。防音材を使用して音を遮断したいなら、多種多様な方法の中からニーズを達成できる手段を見つけることが可能です。